脳の認識機能と犯罪
犯罪の常習犯のなかには、脳に機能障害をもっている例が少なくないようです。
たとえば、あるジャンルの性犯罪者で、再犯を繰り返していた人が、脳しゅようが見つかって手術したとたん、そういう性的妄想そのものが起きなくなり、二度と性犯罪を犯さなくなったケースもよく聞きます。
脳しゅようや脳内出血によるむくみなどで、脳の一部が圧迫されたとき、普段は抑えられている能力が異常なまでに発揮されることもあります。
サヴァン症候群って、聞いたことあるでしょう?
知的障害や発達障害をもつ大人や子供で、ごく限られた分野ではあるけれど、人並優れた特異な能力を発揮するというケースです。
たとえば、いったん見た風景などは、ちょうど写真撮影したように脳内に記録され、それを細部まで正確に絵に描いて再現できるという人たちもいる。
でも、実はこういった能力(の可能性)は、ほとんどの人がもっているんですね。
ただ、あまりに強烈にある能力を発揮してばかりると、脳内の機能バランスが崩れたり疲労して、言動まで異常になりかねない。そこで、通常は生理的に自然なブレーキというか、制御機構が働いているわけです。
天才と狂人は紙一重といいますが、
犯罪者と芸術家も、ある意味では紙一重なんですね。
だから、絵を描くことを覚えた常習的犯罪者が、絵に夢中になってからは一切犯罪に手を染めなくなったという実例も多々あります。